テレビで俳句を見て、「自分も作れたら楽しいだろうな」と思ったことはありませんか?
最近、テレビで芸能人が俳句を詠む番組が人気ですよね。上手な俳句が披露されると、素人でもなんとなく「あぁ、その光景が目に浮かぶ」「心にすっと入ってくる」という感覚を味わったことがある方も多いのではないでしょうか。
難しい言葉や季語が並ぶと「うーん…?」となることもありますが、シンプルで心に刺さる俳句に出会うと、思わず一人で「うぅ~ん」と頷いてしまう。そんな瞬間、ありますよね。
そして、ふと思うんです。
「自分も俳句を作れるようになったら、楽しいだろうな」
誰かに披露するわけじゃない。SNSに投稿する必要もない。ただ、日常の何気ない瞬間に気づいたことを、5・7・5で表現してみる。それだけで、毎日がちょっと豊かになるかもしれない――。
この記事は、そんな「気軽に俳句を始めてみたい」と思っているあなたのために書きました。大げさなことは一切なし。個人で楽しむための、ほんの少しの知識だけをお届けします。
なぜ俳句は「心に刺さる」のか?
俳句の最大の魅力は、たった17音で情景や気持ちを伝えられることです。
長々と説明するのではなく、ぎゅっと凝縮した言葉で「あの感じ」を表現する。だからこそ、読んだ人の心に直接届くんです。
たとえば、
古池や 蛙飛び込む 水の音(松尾芭蕉)
この句を読むと、静かな池に蛙が飛び込んだ瞬間の「ポチャン」という音が、頭の中で再生されませんか?言葉は少ないのに、まるでその場にいるような感覚になる。それが俳句の力です。
あなたがテレビで感じた「すぅ~っと入ってくる」感覚も、まさにこれ。俳句は、余計な説明を削ぎ落とすことで、読む人の想像力を引き出すんです。
俳句の超基本ルール(難しく考えなくて大丈夫です)
俳句を作るための基本ルールは、実はとってもシンプルです。
ルール1:5・7・5のリズムで作る
俳句は「5文字・7文字・5文字」の合計17音で作ります。
例:春の風(5) 頬を撫でゆく(7) 散歩道(5)
ただし、1文字くらい多くても少なくても大丈夫。これを「字余り」「字足らず」と言いますが、初心者のうちは気にしなくてOKです。
ルール2:季語を入れる
季語(きご)とは、季節を表す言葉のこと。
- 春:桜、梅、春風、つくし
- 夏:海、蝉、夕立、花火
- 秋:紅葉、月、秋風、栗
- 冬:雪、初詣、寒椿、霜
「これって季語?」と迷ったときは、ネットで「季語 一覧」と検索すればすぐ出てきます。最初は「なんとなく季節を感じる言葉」くらいの認識で十分です。
初心者が最初に作るべき俳句とは?
いきなり「芸術的な俳句を作ろう」と思う必要はありません。
まずは、「今日、ちょっといいなと思ったこと」を5・7・5にするところから始めましょう。
たとえば…
朝、コーヒーを飲みながら窓の外を見たとき、猫が日向ぼっこしていた。
↓
陽だまりに 猫が丸まる 春の朝
これだけで、もう立派な俳句です!
「でも、これって普通すぎない?」と思うかもしれませんが、俳句は「普通の日常を切り取る文学」です。特別なことを詠む必要はないんです。
【実践】初心者でも今日から作れる!俳句作成3ステップ
それでは、実際に俳句を作ってみましょう。
ステップ1:「今日、心に残った瞬間」を思い出す
まずは、今日一日を振り返ってみてください。
- 朝の通勤中に見た景色
- お昼に食べたご飯のこと
- 夕方の空の色
- 夜、ふと感じた感情
なんでもOKです。「これ、ちょっといいな」と思った瞬間を一つ選びます。
例:夕方、ベランダに出たら、風が涼しくて気持ち良かった
ステップ2:その瞬間を「短い言葉」で表現してみる
次に、その瞬間を短い言葉にしてみます。まだ5・7・5にする必要はありません。
- 「夕方」「ベランダ」「涼しい風」
この3つが、あなたが感じたポイントです。
ステップ3:5・7・5のリズムに当てはめる
最後に、5・7・5のリズムに合わせます。
- ベランダに(5) → 「ベランダで」でもOK
- 夕風涼し(7) → 「夕風」は夏の季語
- 日が暮れる(5)
完成!
ベランダに 夕風涼し 日が暮れる
どうでしょう?あなたが感じた「ちょっといい瞬間」が、俳句になりました。
実際に作ってみよう!身近なテーマで練習
ここで、いくつかのテーマを用意しました。実際に作ってみましょう。
テーマ1:朝のコーヒー
朝、コーヒーを飲む時間。あなたは何を感じますか?
- 「温かい」「香り」「一息つく」
例:朝の陽に コーヒー香る 静けさよ
テーマ2:雨の日
窓の外を見ると、雨が降っている。
- 「雨音」「しとしと」「濡れた道」
例:雨音が 窓を叩いて 春の夜
テーマ3:散歩中の発見
散歩していたら、道端に小さな花が咲いていた。
- 「小さな花」「足元」「春」
例:足元に 名も知らぬ花 春の道
失敗してもOK!完璧を目指さなくていい
ここまで読んで、「でも、自分が作った俳句ってなんだかパッとしない…」と思う方もいるかもしれません。
大丈夫です。それが普通です。
俳句は、最初から上手に作れる人なんていません。松尾芭蕉だって、何百句、何千句と作り続けて、あの境地にたどり着いたんです。
大切なのは、「作ってみること」です。
上手い下手を気にせず、まずは自分の感じたことを5・7・5にしてみる。それだけで、あなたの日常が少し豊かになります。
俳句を個人で楽しむ価値
俳句は、誰かに評価してもらうためのものではありません。
もちろん、句会に参加したり、コンテストに応募したりするのも楽しいですが、「自分のために作る」というスタンスでも十分に価値があります。
俳句を作ることで得られること
- 日常の小さな発見が増える
俳句を作ろうと思うと、自然と周りの景色や出来事に目が向くようになります。「あ、これ俳句にできるかも」と思う瞬間が増え、毎日が少し新鮮になります。 - 言葉で気持ちを整理できる
モヤモヤした感情も、5・7・5にすることで「あぁ、自分はこう感じていたんだな」と気づくことがあります。俳句は、自分自身と向き合う時間にもなるんです。 - 頭の体操になる
限られた17音の中で、どう表現するか考えるのは、ちょっとしたパズルのようなもの。楽しみながら、脳も活性化します。 - いつでも、どこでも楽しめる
俳句は、紙とペンがあれば作れます。スマホのメモ帳でもOK。道具も場所も選ばない、最高に気軽な趣味です。
まとめ:「ちょっといいな」を5・7・5にしてみよう
俳句は、難しいものではありません。
テレビで見た「心に刺さる俳句」も、元をたどれば誰かの「ちょっといいな」という気づきから生まれたものです。
あなたも、今日から始めてみませんか?
- 5・7・5のリズム
- 季節を感じる言葉(季語)を入れる
- 日常の「ちょっといいな」を切り取る
この3つを意識するだけで、あなたも俳句を作れます。
最初は上手じゃなくていい。完璧じゃなくていい。
大切なのは、「自分が楽しむこと」です。
ぜひ、今日のあなたの「ちょっといいな」を、5・7・5にしてみてください。きっと、新しい楽しみが見つかるはずです。
【初心者におすすめの最初の一歩】
まずは、スマホのメモ帳を開いて、今日感じたことを一つ書き出してみましょう。それを5・7・5のリズムに当てはめるだけ。それが、あなたの最初の一句になります。
俳句の世界へようこそ。あなたの日常が、きっと少しだけ輝き始めますよ。