仲春とはどんな季語か
「仲春」は俳句の世界で春の時候を表す季語で、春・夏・秋・冬のうち春に属し、さらに細かい分類では「時候」に区分されます。三春(初春・仲春・晩春)と呼ばれる春の三区分のうち、ちょうど真ん中にあたる時期を指す言葉です。
意味・由来
仲春はもともと陰暦(旧暦)二月の異称として使われてきた言葉です。春の三か月を初春・仲春・晩春と三分したときの、文字通り真ん中の一か月を意味します。現在の歳時記では、二十四節気の啓蟄から清明の前日までの期間、おおよそ新暦の三月六日頃から四月四日頃までにあたるとされています。この時期は寒暖が繰り返されながらも、日ごとに本格的な春へと向かう不安定ながらも活気のある季節で、桃や桜のつぼみがふくらみ、虫たちも土の中で動き出す頃合いです。三月三日の雛祭りなど、春らしい年中行事が始まる時期とも重なります。
読み方
「仲春」は「ちゅうしゅん」と読みます。訓読みした「仲の春(なかのはる)」という言い方も存在し、意味は同じく陰暦二月の異称です。
使用例について
「仲春」という言葉そのものを句の中に詠み込んだ例は、時候の挨拶文や現代俳句には見られるものの、芭蕉・蕪村・一茶・子規といった没後70年を超える俳人の確実な作例は今回確認できませんでした。そのため無理に句を挙げるのではなく、まずは季語としての性質を丁寧に押さえることをおすすめします。仲春の時期に詠まれた句としては「三月」を詠み込んだ句が数多く歳時記に収められており、季節感を学ぶ手がかりになります。
使い方のポイント
仲春を使う際にまず意識したいのは、春全体を指す「三春」の季語との違いです。「春」「春風」「花」などは春の三か月を通して使える季語ですが、仲春はあくまで三月上旬から四月上旬という限定された期間を示す言葉であり、実際の季節感がその範囲からずれていると違和感が生じます。また、初春(立春から啓蟄前日まで)や晩春(清明から立夏前日まで)とも明確に区別されるため、句の中で描く景物が本当に仲春の時期にふさわしいかどうかを確認することが大切です。手紙文の「仲春の候」としても用いられますが、これは時候の挨拶であり、俳句の季語としての用法とは役割が異なる点にも注意しましょう。
関連季語
仲春と合わせて押さえておきたい関連季語には、如月・啓蟄・春分・彼岸・三月などがあります。これらはいずれも仲春の時期に含まれる、あるいは近接する時候・行事の季語で、句の情景をより具体的に描き分ける助けになります。
まとめ
仲春は、春を初春・仲春・晩春に三分したときの真ん中、旧暦二月・新暦の三月上旬から四月上旬にあたる時候の季語です。三春の季語との混同を避け、啓蟄から清明前日までという具体的な時期を意識して用いることで、句にたしかな季節感を宿すことができます。関連する季語と併せて学び、実際の景物や体感と結びつけながら使いこなしていきましょう。